【法人向け】知的財産(IP)の管理に関する必要性と弊所の取り組みについて

「知的財産を活かしたコンテンツで事業展開したいが手続きに手間取っている…」
「IPビジネスを行っているが、著作権周りのトラブルが相次いでいる…」
「知財を活用したマーケティング戦略を考えているが、法的手続きをどう行えばいいか悩んでいる…」
「知的財産権に理解のある法務パートナーを見つけ出したい…」

このようにお悩みではありませんか?

我が国では、アニメ・漫画・ゲームなどのコンテンツ産業が世界規模で発展しており、昨今ではVTuberを手がける企業も上場するなど、知的財産を活用したビジネスの躍進から目が離せません。

一方で、海賊版作品の流通で著作権の侵害が横行し続けたり、出版社や事務所とクリエイター間でのトラブルが炎上騒動となるなど、知的財産ビジネスはまだまだ発展途上であるという見方もできます。

弊所ではこのような情勢を踏まえた上で、法人パートナーに対しての知的財産に関する取り組みに力を入れております。

本ページでは、知的財産がどのようなものか、また、知的財産が事業にどのような影響を及ぼすかをご紹介した上で、企業がどのように知的財産を管理・運用していくかについても解説していきます。

そもそも、知的財産権とは何か?

知的財産は、2003年施行の「知的財産基本法」において定義されています。

この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現
象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に
用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上
又は営業上の情報をいう。(同法第2条第1項)

この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、
商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益
に係る権利をいう。(同法第2条第2項)

その名の通り「人間の知的活動によって生み出されたもの」の多くが知的財産だとみなされるということになります。知的財産は必ずしも物である必要はなく、学術・文芸・美術などの文化的創作に関する著作権、発明や考案、意匠、商標などの「無形の財産」も多く含みます。

知的財産とは、有形物のうちの実体を持たない権利の側面を含みます。特許・商標・著作権などの類も、有体物としてのものではなく、それらに化体された信用力や独創性が権利として保護の対象に含まれるのです。

ビジネスシーンにおいては知的財産を「IP(Intellectual Property)」と呼称することもあります。狭義ではアニメキャラクターなどのコンテンツに関する「版権」を指すニュアンスで用いられ、版権を活用したビジネスを指して「IPビジネス」と呼ばれることもあります。

それだけ「知的財産(IP)を活用したビジネス」が、現代では広く浸透しているということです。アニメやゲームはもちろん、キャラクターの発行されたグッズ販売、サブスクリプション制の音楽配信サービス、アプリの使用ライセンスなど、これらはすべてIPビジネスに含まれます。

また、知的財産を管理する会社や組織のことをビジネス用語では「コンテンツホルダー」と呼ぶこともあります。IPビジネスを展開するにあたって、コンテンツホルダーは知的財産の管理や運用を行う役目を担うこととなるのです。

知的財産を管理する企業(コンテンツホルダー)が抱える問題とは?

知的財産を管理したり運用する企業には、どのような問題が起こり得るのでしょうか?

まず前提としてご理解いただきたいこととして、法律があるからと言って人は必ずしも法律を守るための行動を取るわけではないということです。。ですので、知的財産権が存在していたとしても、知らず知らずのうちに知的財産権を侵害してしまう人が出てきます。あくまで法律は、そういった可能性に対しての抑止力であったり、問題が起きた時に適切な対処を導き出すためにあるのです。

その際、コンテンツホルダーとなる企業が「何が知的財産で、どこまでの権利を行使できるのか?どこまでを具体的に抑止できるのか?」を知っておかなければ、ビジネスとして知的財産を有効活用することは難しくなります。逆に、知的財産について理解した上で、適切に運用できビジネス展開できれば、強固なビジネス基盤を生み出すこともできるのです。

とはいえ、「知的財産権がビジネスの成否に直結する実感が湧かない…」と感じられる方も多いでしょうから、ここではいくつかのリスクや事例も交えてご紹介していきます。

1)第三者の知的財産の不当使用により損害を被る

第三者によって知的財産が不当に使用され、著作権や特許権などの権利が侵害されるばかりか、企業にとっては損害を被る恐れがあります。たとえば、以下のような例です。

▼企業活動に対する知的財産の不当使用の例

  • 自社のキャラクターのイラストを無断で商品化された
  • イメージを損なう形で自社イラストが利用されている
  • 自社商品に酷似した商品が販売されていた
  • 自社のリリースしたソフトウェアが無断で再配布された

これらのリスクを検討するにあたって重要となるのが「何をもって損害とみなすか?」という判断軸です。知的財産権の侵害を許すことで、本来、知的財産権を適切に運用することで生み出せたはずの利益が生まれないのであれば、それは企業としては紛れのない機会の損失だと言えます。

いくつか、代表的な例を見てみましょう。

今やIPとしても世界的人気を誇る「ポケットモンスター」シリーズでは、1990年代後半に流行した当時、似たようなキャラクターデザインのグッズが市場に大量に出回っていたため、開発元のゲームフリークや流通を担う任天堂とは別にキャラクターグッズなどのIP管理を担う「株式会社ポケモン」が設立されました。

同様のケースとして、2021年に大流行した「鬼滅の刃」ではキャラクター関連グッズがあらゆる分野で流通しましたが、一部の模様については商標登録できたものの、主人公の衣装の模様は商標権として認められなかったことが話題となりました。

参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20211001-00261088

この例でコンテンツホルダーとなる「株式会社ポケモン」「集英社」ともに、今や世界規模でIPビジネスによる市場進出を果たしているグローバルな企業だと言えます。

参考:https://www.titlemax.com/discovery-center/money-finance/the-25-highest-grossing-media-franchises-of-all-time/

もし、ポケットモンスターシリーズの大流行時に、非公式で制作されたキャラクターグッズの流通が許され続けていれば、ブランドイメージが損なわれたり、コンテンツホルダーと契約せずに商品を提供する業者が横行する状態が続き、今のポケモンブランドは存在しなかったかもしれません。

また、鬼滅の刃の流行時にも同様なことが言え、集英社がコンテンツホルダーとして商標権の申請などの知的財産の保護に努めたからこそ、あれほどの関連グッズの流通が迅速に行えたという背景が見えてきます。

両社とも、ビジネスの成功要因の一つとして「知的財産の管理や運用を徹底したから」だと考えることができます。

こういったビッグコンテンツの成功要因に着目してみると、いかにコンテンツホルダーである企業の知的財産権の管理や運用が重要かが、見えてくることでしょう。

2)知的財産の侵害品によるブランドイメージの低下

知的財産を侵害した商品が流通されることで、ブランドイメージが低下することがあります。

最たる例で言えば、ルイ・ヴィトンなどの高級ファッションブランド品の類似品が格安で販売される事例です。前述のポケモンのように、類似キャラクターがプリントされた商品が市場に出回る例も、キャラクター版権ビジネスの黎明期には起こりやすい印象にあります。また、ネット上ではロゴやデザインが酷似したサイトやサービスがリリースされ、あたかも公式かのように思わせる手口も発生します。

このような事例の場合、消費者は公式の製品であると勘違いして購入してしまうわけですので、規制しなければ公式ブランドの売上や信頼が落ちるリスクにもつながります。

自社の知的財産の価値を守るためにも、知的財産を偽る業者に対しては、毅然として法的対処を行わなければならないのです。

3)知的財産のライセンス化が適切に行えない

知的財産を製品やサービスとして提供する場合、BtoBであれば他企業に自社版権の使用を許可する契約で収入を得るビジネスモデルであったり、BtoCであればライセンス化やサブスクリプション制などの形式で知的財産の使用を許可するなど、販売する知的財産に合わせた売り方が必要となってきます。

▼BtoBでの知的財産のビジネスモデル例

  • キャラクター版権絵やロゴをグッズや看板に載せる権利を売る
  • 芸能事務所と契約して所属タレントの写真を掲載する権利を得る
  • JASRACとの包括契約で音楽を流せる権利を得る
  • 業務用ソフトウェアのライセンスを購入し使用権を得る(Adobeなど)

▼BtoCでの知的財産のビジネスモデル例

  • フリーイラスト素材提供サービス(いらすとやなど)
  • 定額音楽聴き放題サービス(spotifyなど)
  • 月額制や買い切り型のスマホアプリ全般
  • 基本無料・ゲーム内課金ありのソーシャルゲーム全般

いずれの例も、BtoBなら取引先との契約内容によって使用範囲や期間を決めたり、BtoCならサービス利用規約によって知的財産の使用範囲を制限するなどして、自社の知的財産を守る工夫がなされています。

4)クリエイターからの信頼低下を招く

知的財産を保護できないと、社員や取引先となるクリエイターからの信頼も低下してしまうリスクがあります。自身が制作した作品が安全に守れられて適切な形で商用利用されるからこそ、クリエイターも企業を信頼して制作に集中できるわけです。

クリエイターと企業における知的財産をめぐるトラブルの例としては、知的財産の使用範囲や著作権の譲渡範囲が曖昧なまま取引が行われ、企業側がクリエイターの望まぬ形で知的財産を用いた結果、クリエイター側に紛糾されてネット上で炎上するといった例です。

昨今では「クリエイターエコノミー」と呼ばれるビジネス用語が注目されています。

※クリエイターエコノミー:個人で活躍するインフルエンサーやクリエイターが、SNSなどのプラットフォームを活用して、自身のスキルで経済圏を作る流れや概念のこと。

従来の「pixiv」のようなイラストレーター向けの投稿サイトに加え、「FAN BOX」「Booth」「skeb」「note」など、サイト内で自作品を販売できるプラットフォームも多数登場しております。

仮にこれらのプラットフォームが、登録したクリエイターの知的財産を不当に利用できるような規約であったり、著作者の許可なく商業利用できるような運営体制であれば、クリエイターからの不信感を招きユーザー離れの要因となることでしょう。

今や、誰もがSNSや動画配信サービスをメディアとして活用できる時代ですか。個人クリエイターの投稿によって運営が成り立つサービス提供企業も、広義ではコンテンツホルダーに含むという見方もできます。

ですので、少しでもクリエイターの制作物を取り扱う企業であれば、コンテンツホルダーとしての自覚を持ち、知的財産を適切に管理できる体制づくりを行い、多くのクリエイターから信頼を得る営業努力は欠かせないと言えるでしょう。

知的財産に関して企業が取り組むべきこと

上記に紹介したようなトラブルを未然に防ぎ、盤石な体制でビジネスに臨めるよう、企業が取り組むべきことをご紹介していきます。

なお、知的財産に関して企業が行う手続きは複雑で、それぞれの企業状況に合わせた提案が必要となります。ですので、ここではおおよその方向性の記載とさせていただきます。より詳細な実行案が知りたい方は、弊所への正式な委託を検討していただければ幸いです。

知的財産の権利を明確にする

まずは、知的財産権が「何に対して発生するのか?」「誰(どの組織)に属するか?」「どの法律に基づいて保護されるか?」といった要件を明確にしましょう。

一般的には、以下のような方法で知的財産の権利を明確にします。

  • 商標・意匠の登録:商標を登録することで、その商標や意匠が他人に使用されないようにすることができます。
  • 特許の取得:特許を取得することで、その特許を持つ者だけが特定の技術を使用することができる権利を得ることができます。
  • 著作権の保護:著作権を保護することで、著作物を自由に使用する権利を有する者だけが、その著作物を使用することができるようになります。
  • 知的財産に関する契約の締結:商標、特許、著作権などの知的財産権に関する契約を締結し、契約当事者の権利と義務を明確にすることで、トラブルを防ぐことができます。

弊所では、特許や商標・意匠などの出願・登録手続については、ご相談いただいた企業の扱う知財ジャンルに応じて、業務提携している弁理士と共同して業務にあたります。ですので、最適な特許事務所との協働により、最適な手続や提案が実施できます。

知的財産権のビジネスでの利用方法を検討する

次に「知的財産をどのようにビジネス展開していくのか?」「取引先に対してどのように通知するのか?」「一般消費者に対してどのように認知してもらうのか?」といった要素について考える必要が出てきます。

知的財産をビジネス利用するには、以下のような方法が一般的となります。

  • 商標の使用: 登録した商標を使用し、自社のブランドを宣伝して顧客に認知してもらう
  • 特許の使用:特許を使用し、独自の技術で製品を開発し、販売する
  • 著作権の使用:所有する著作権を使用して、著作物を出版し、販売する
  • ライセンス契約:ライセンス契約を締結することで、知的財産を使用し、収益を上げる

これらは、経営やマーケティングの領域も絡んでくるため、社内外の関係者にも知的財産について一定の理解をしてもらう必要が出てきます。

たとえば、自社の商標や著作権の適切な使い方を伝達しないことが原因で、取引先が知らぬ間に知的財産の侵害を行ってしまい、自社ブランドの信頼が損なわれるといった事態が考えられます。

このような事態は、知的財産権を有する企業が適切なビジネス利用法を検討した上で、関係者に十分に伝達すれば避けられる事態でもあります。

弊所では、事務的な申請手続きはもちろんのこと、知的財産のビジネス利用フェイズでのトラブルを未然に防ぐための提案をご用意できますので、お困りの際はぜひご相談いただければと存じます。

知的財産の保護体制を確立する

知的財産権侵害の脅威に対抗するには「知的財産権保護に向けた体制づくり」「知的財産権の侵害の早期の検出」「知的財産権侵害時の対応方法を知っておく」などの取り組みが重要です。

そもそもとして、知的財産の不正使用が発見できなければ、法的措置を講じることが困難です。よって、以下のような知的財産への侵害行為を検出する体制づくりが必要となります。

  • 調査:自社社員や外部委託によって知的財産権の侵害が行われていないか定期的に調査を行う
  • 監視システムの導入:知的財産を侵害していないかを監視するための監視システムを導入することで早期発見につながる
  • 知的財産権の侵害申告フォームを設ける:自社サイトなどで知的財産権侵害の申告フォームを設け、ユーザー側からの通報にも頼る

知的財産の侵害であると思しき行為を見つけ出した場合、違法かどうかの判断や、法的措置を取る際の手続きのに関しては、知的財産法務に関して専門性のある弁護士でないと対応が困難な事例が多く存在します。知的財産権の侵害を発見した後にスムーズに対応できるよう、平時から相談先を探しておくことも重要です。

知的財産に関する法律や規則を遵守する

従業員や取引先など、あらゆるステークホルダー(利害関係者)から社会的信頼を得るためには、会社全体での知的財産に関する法律や規則の遵守を徹底することも大事です。

そのためには、以下のような取り組みが重要です。

  • 知的財産権に関する法律の確認: 知的財産に関する法律にどのようなものがあるか把握しておく
  • 知的財産に関する法律のコンサルティング:知的財産に関する法律に精通した専門家に相談し、法律に沿った対策を取る
  • 知的財産権に関する教育:社員に対して、知的財産権に関する教育を行うことで、知的財産権の侵害を防止し、適切な使用方法を学ぶ
  • 対策の見直し:知的財産権に関する対策を見直し、改善し、最新の法律や慣行に沿った対策を講じる

まず、経営者やマネージャー階級が知的財産に対しての理解を深めた上で、ルール化したり教育として実施して、社内外にも高い知的財産権に関する法令遵守の意識を育むことが必要となります。

ただ、現実的には知的財産に関する法務に充てる時間を確保できない法人の方も多いでしょうから、そのような場合、知的財産に関する法務コンサルティングにも対応できるパートナーに一任するという選択も考えられます。

弊所では、定期的に著作権に関するセミナーなども参加しておりますので、知的財産権に興味がある方は、ご参加をご検討ください。

知的財産に関してお悩みなら弊所へのご相談を

以上のように、昨今、知的財産は事業の生命線となることから、コンテンツホルダーとなる企業にとって知的財産への理解は不可欠です。

また、事業活動を将来的に脅かすかもしれない侵害行為に対する防衛体制を築きながら、万が一の侵害行為には毅然と対応する必要があります。

文中でご紹介しているポケットモンスターシリーズや集英社などの巨大IPを取り扱うコンテンツホルダーの事例からも見えてくる通り、知的財産に関する防衛を固めた上で市場規模を広げられれば、事業体制も盤石なものへと発展していくことでしょう。

弊所では、知的財産に関する法務全般に注力していることが強みでもあります。契約書作成やリーガルチェック、権利処理といった「法務面」に加え、経営において知的財産をどのように扱って事業を拡大していくかという「コンサルティング面」にも重点を置いているのが特徴です。

関連:https://www.kittenlawoffice.com/corporation/filing-reminder/

もし、法人運営を手がけており、知的財産への深い理解や活用に関する知見が必要だと感じていたり、事業拡大にあたって知的財産の保護や権利管理、権利処理が必要だと感じているのであれば、ぜひ、弊所を法務パートナーとしてご検討いただければ幸いです。

詳細な内容や金額などは、お話を聞いてみるまで分からないことも多いです。
まずは一度お問い合わせにてご相談ください。
※オンライン(Zoom)又は事務所に来所にて相談対応します。